株式会社ジェイ・プラン

COLUMN
だから開発はオモシロイ

第38回 どこへ行くのか?百貨店

商業施設新聞 2017年11月29日(水)掲載

本原稿を書き始めようといつもの如くPCに向かった10月末、とんでもないニュースが飛び込んできた。

百貨店の雄あの三越伊勢丹グループが人件費削減と不採算算店舗の整理の発表をした。40代~50代の課長職を対象に退職金最大2倍の割増による人員削減と採用の抑制を行い、更に多摩センター三越店と千葉店に続き来年の3月には松戸店も閉店との発表も行なった。

同じく系列のクイーンズ伊勢丹の株66%を三菱商事系のファンドに売却するという。

今後どの様に進むのか興味深く見守っていきたいと思うのである。

同じ百貨店業界でも一足早く『脱百貨店』への舵を切った大丸松坂屋のJ・フロントリテイリングは『GINZASIX』に続いて11月初旬、松坂屋上野店南館に66のテナントを集めて『パルコヤ』をオープン。

一方地方においても百貨店の苦境は留まるところ数知らずこの2年でも10店以上が閉店に追い込まれている。

戦後から永年『小売の王様』として君臨してきた百貨店にとってここ何年かは大きな転換期でありビジネスモデルの変革は必須となり、しばらくは厳しい状況が続くと覚悟しなければならない。

都心・地方を問わず百貨店はこれまでの委託取引や売上仕入れ契約から、比較的安定収入が見込まれ人手があまりかからず収益性にも貢献できるテナント導入・誘致への方向転換策をとるところが多い。大型家電・家具インテリア・SPAやファストファッション等へのテナントリーシングをし自主MDから不動産契約に切り替えてきている。必然的にこれら大型店に限らず個性のある強く売れる小型テナントの導入も盛んである。勿論物販・サービスだけでなく飲食テナントにとっても出店できる余地は充分ある。

開発の世界にとっては、これまでの駅ビルファッションビル等SCと百貨店とのテナント争奪戦が水面下で既に始まっている。

この様な情勢下出店政策をとっているテナントにとっては絶好のチャンス到来であり、如何に情報を集めていくかが開発担当者の腕の見せ所となり、普段からのより良き人脈が役に立ってくる筈である。

今回は百貨店を取り上げたが、GMSにおいても同じような状況には変わりがない。

いずれにしても流通業界、PC・スマホとの熾烈な戦いは今後もなくならない。

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