第32回 ギンザシックスで
商業施設新聞 2017年5月16日(火)掲載
先月の20日『ギンザシックス』がその名の如く銀座6丁目に華々しくオープンした。
ご存知のように松坂屋銀座店の跡地をJ・フロントリテイリングと森ビル等との共同開発で地上13階、地下6階で上層階にはオフィスが入居し、商業床での売上目標600億円を目指すという超大型開発である。
元々銀座は老舗松屋銀座店、三越銀座店、以前は阪急百貨店、プランタンなどがひしめき合う百貨店激戦区であった。阪急百貨店は東急プラザ銀座、今春プランタン銀座がマロニエゲートになり、あの日劇(若い人は知らないだろうが?)が今ではルミネとなり、有楽町まで拡げると古くはそごう有楽町店がビックカメラになり、駅前再開発でマルイも出店。この様に地域内には大型店も数多くある。一方路面には世界のラグジュアリーブランドショップも数多く並び、そして日本の老舗名店から新興有名店までが軒並み競っている。
昔から幾多の商人が『いつかは銀座で商売してみたい!』と夢見たあこがれの地銀座、今でも店名に『銀座***』と称する店も数多くあり、各地の地域1番の商店街には『***銀座』『***銀座通り』としてその名が残っている。
早速足を運んでみたが、どの階へ行ってもヒト・人・ヒトでゆっくり買い物が出来そうもなく、ランチタイムなどはどの飲食店にも行列ができ『さすが!』と言えるほど多くのお客様を集めていた。この後もしばらくはその波は減らないだろうと思いながらも、決して安くはないであろう賃料?にも関わらずよくぞ251ものテナントを集め編集したなと開発担当者の努力実績に大いに敬意を表したい。
苦境が伝えられる『百貨店ビジネス』の先を見据えた転換例の一つではなかろうか。
この開発により銀座地区の商業環境が大きく変化し地区内の競合というより、恩恵を被る店も増え『銀座地域全体の活性化』は益々進行するであろう。そして地域間競争により
今も大型開発が進行中の渋谷、そして新宿なども、うかうかしていられないだろうとの想いがより強くなったのである。
果たしてこの活況がいつまで続くかは解らないが、この先の実績数字の発表を期待しながらしっかり見守っていきたいと思うのである。
素晴らしく眺めのいい屋上庭園までの全館を歩き終え、疲れた足で前から気になっていた東急プラザ銀座と三越銀座店の免税店に寄ってみたが、あの広い売り場はこの先どうなっていくのだろうか?と老爺心ながら想い、夕暮れの銀座を後にしたのだった。