第24回 出店開発における留意事項
商業施設新聞 2016年9月20日(火)掲載
多少残暑は残るものの本格的な秋の声が聞こえてきた。今夏の商戦を見てみると、相変わらず芳しくない消費、と言いながらしっかりと数字を伸ばしている所も数多くあり益々二極化の構図が鮮明になってきたようだ。数々の問題点を抱えながらの今後の消費経済社会、本当に難しい局面だが、これからも成長戦略に於いてより重要になってくると思われる、出店開発における欠かせない留意点を思いつくままに挙げてみたい。
➀ 立地は絶えず変化をしていく。
今日の一等立地が明日はどうなるか?誰にもわからない。競合店の出現、あるいは内部要因などにより変化の速度が時代の流れとともに早くなっているのは確かである。だからこそ立地戦略はより重要になってくる。
②人手不足など雇用面の対策を!
今出店しようと思っても人が集まらなく断念とか、募集をかけても応募がない等の例が増え、極めて現実的な問題となっている。小売流通業とは店長産業と言われている通り人材採用・育成教育の計画性が増々必要になってくる。
③しっかりとした出店契約を!
甲(デベ)と乙(テナント)とは経済合理性の面からは相反する立場にあるのは避けられないがしかし今後、共に協調しなければならないのが宿命だ。出店交渉時に経済条件を初めとして看板などその他諸々の付帯条件、特にB工事問題は避けて通れない。押印後の予想外に高額なB工事請求書を送られて驚く事がないように、万全の交渉が必要である。
④退店解約時の契約案文にも注意を!
誰でも『儲かる!』と思って出店するのだが➀のような例とか、売上予測が大きく下振れ赤字が続いてしまっているとか、店長が退職したら急激に売上が落ちてしまった等々の経験をしたことがありませんか?もう少しガンバロウ!と思っても何とかならないのが現実。早めの退店を恐れることなく、まして赤字垂れ流しのまま営業を継続することの方が恥ずかしいのが今の時代です。止むを得ず中途解約の場合は残存期間の賃料負担、償却、原状回復そして従業員の雇用面等々、そうです出店より退店の方が難しくあらゆる面に神経を使わなければならないのが退店時です。契約時に比較的おろそかにされるのがこれらの条項です。ネ・ン・ノ・タ・メ。
以上4項目を挙げてはみたが突き詰めてみればまだまだ留意すべき点は数々あるのではなかろうか。くれぐれも出店開発は慎重に!