第19回 様々な春・新たなるスタート
商業施設新聞 2016年4月26日(火)掲載
この春、話題の大型開発SCが都心で新たにオープンした。
JR新宿駅の新南口に32階建ミライナタワーが立ち上がり従来の駅ビルとは異なりやや変則的なフロアー構成の『ニュウマン』。
ビル内6フロアーと線路上空に3フロアーそして駅ナカ駅ソトに1フロアーとなっている。特筆すべきは39都道府県を結び、1日1625便が発着し4万人が利用するという日本一の高速バスターミナル『バスタ新宿』を併設している。
そして銀座では斬新なファサード『東急プラザ銀座』が地上11階地下2階5万平米でオープン。
いずれに共通しているのは、従来までのヤングファッションを主体とした売り場構成から大きく変化し、30代以上の大人の女性を意識したMDとなり独自の色を出している。
売らんかなと言う姿勢よりお客様重視とでもいうのか?ゆったりとした空間を効果的に演出し、お買い物を楽しめそして居心地のいい、くつろげるカフェ飲食店などの非日常空間を数多く配している。
日本初出店、地域初とか新業態などがキーワードとなり新たなライフスタイルの提案がなされ話題も豊富だ。未来へのSC像を暗示させるような気もするし、しっかりと見ておきたいと思うのである。
これら以外にもアトレ恵比寿での西館増床オープンを初めとして各地での改装・リニューアルが数多くあったSC業界でのこの春。
3月から4月にかけて多くの会社で新入社員入社式が行われた。駅では研修合宿へでも行くのか?真新しいスーツに身を包んだ若者集団を多く見かける。しかし就職戦線を切り抜けてきたこれらの若者が長続きせず1年後には2割3割が退職してしまうという。人事採用担当者としては頭の痛いところだ。
入社式での経営者の歓迎の言葉で『未来を切り開いていくのは貴方達だ!』が虚しく聞こえる。
流通小売業・飲食・サービス業においては『人手不足』が大問題となっており、今後どのように育成教育していくのが良いのか難しいところだ。
依然として混沌としている日本経済。株価の上下、円高、中国経済失速の影響等々不安定要素をいっぱい抱えながらの新年度である。
こうしてそれぞれが新しいスタートをしたこの春、来年の今頃は果たしてどうなっているのか…誰も分からない。果たしてどこへ行くのだろうか?