第15回 B工事問題とは?
商業施設新聞 2015年12月16日(水)掲載
先日とあるビューティー系のサービステナントA社の開発担当取締役から突然の電話があった。『この案件には出店できない!あきらめるのでナシにして欲しい。』
どうやら内装監理業者から出てきた『B工事見積書』が想像以上に高く投資・収支計画から採算が取れなくなってしまうそうだ。
A社以外にもこんな例もあった。
食物販B社、ある駅ビルへの約8坪出店、その際出てきたB工事見積りがなんと2000万円。勿論『ハイ分かりました』とは言えない…。
日常業務で開発・リーシングをしているが、
最近『B工事』にまつわるこんなトラブル?が多い。
前記A社の場合、当社担当者が慌ててA社を訪ね、取締役に話を聞いてみると『出店はしたいけど…このままじゃねぇ~』と悩んでいた。当社担当者としても、かなり以前からデべとテナントに挟まれ何度もやり取りをし、経済条件をはじめとしてその他いろいろと調整を図ってきて、あとは本契約を待つばかりの状態だっただけに、見過ごすわけにはいかない。設計説明会にも出て、工事区分表も渡された後に出てきた『B工事見積書』は『約7坪で700万円弱』いくら新規ビルの開発とは言っても高すぎる。 その後、詳細は省くが最終的には何とかA社としても納得し出店OKまでこぎつけ、後はしっかり売上げを確保して貰うばかり…に落ち着いた。
その裏ではデべ担当者の『なんとしてでもこのテナントを入れたい!』という強い情熱と社内調整力があったことは言うまでもない。
それでは何故に?この様な事が起きるのか? あくまでも推測でしかありえないが、以下の事が考えられるのではないかと思う次第である。
➀内装監理業者はデべからの指名を受けるための営業はするが、本来のお客様であるべきテナントの方は向いてない。
②大手ゼネコンが指定を受ける事が多いが、それを下請け更に孫請けに発注するというゼネコン業界特有の構図が出来上がっている。
③デべ担当者もB工事の細部までは、理解できてなく内装監理業者のいいなりになってしまう事が多い。
④これは難しい事でしょうが、工事区分表に金額を入れられない。
重ねがさねではあるが、この独自の見解、推測についてどなたか?教えていただけるお方がいたらうれしいのです。
最後ではあるが、『憧れのSC・デべ』に対して『このB 工事は高すぎる!』と言いたくても言えなかった、というテナントの声も何回か聞いている。テナントの開発担当者にとっては決して避けては通れない壁=『B工事』なのかもしれない。