第46回 明日は我が身か?
商業施設新聞 2018年7月17日(火)掲載
今の時代はネット等を通じて、アメリカの流通小売業の様々なニュースも配信されてくる。米大手百貨店においてはなかなか苦戦を強いられながらも昨年度の決算によると、不採算店舗の閉鎖、リストラ費用の増大等々各社生き残りをかけた対策等、模索を続けているようだ。
同じく新業態の開発、オフプライスの導入等も挙げられるが、最大の競争相手であるEコマース企業の勢い・台頭=消費者意識の変革への対応には如何ともし難いようだ。
そんな時に入ってきた衝撃的なニュース、約3万人以上の従業員が働いている『米トイザらス閉店』という、米国内700以上の全店舗の売却先を探していたが買い手が見つからず、今春清算を決断した。必然的に全店舗閉鎖、そして従業員も行き先を失ってしまった。
同じく数多く出店している海外の店舗についても大きな影響を受けるだろう。但し『日本トイザらス』については詳細を省くがさほど問題なく今後も営業を継続していくようだ。
時を同じくしてファッション雑貨の『米国クレアーズ』が約2100億円の債務を抱えながら破産の申請を計画中だという。原因の多くはショッピングモールへの過度の出店戦略が裏目に出、そこでの客足の減少により苦境に陥ったとの事。幸い日本の『クレアーズ』は、イオンの100%子会社であり、『日本トイザらス』同様今も元気に営業中である。
上記の店舗に限らずあのGAPや日本でも一時芸能人御用達で大人気になったアバクロ等々、2018年には全米で3800以上の小売業の閉店となるようだ。オンラインショッピングへの対抗ができず、ショッピングモールの閉鎖が相次ぎ、正に『小売業崩壊!』とまで言われている。
過去の歴史を振り返ってみると資本主義社会の最先端であるアメリカにおいておきた『事象』は、この日本でも繰り返されることが多い。全国の大型商業施設は改装リニューアルを含め本年度は約50件も計画されている。
事業の存続拡大・会社の発展こそ経営者の使命であり業とも言えるが、拡大戦略を止めることはなかなかできないが、そのかじ取りを一歩誤ると暴走に替わる事もある。
デべ・テナントに限らず開発担当者にとってみると時代の変化への対応をしっかりと見定め『確実に利益の出る店舗づくり』その為の開発に軸足を移すことが最重要課題になってくる。