第14回 がんばれ!商店街
商業施設新聞 2015年11月17日(火)掲載
『開発』とはいささか外れた記述になるかもしれないが、最近我が社へ『どこか?路面店舗でいい場所はありませんか?』との開発依頼が結構多い。残念ながら我が社は不動産業者ではないので応えることはできないが、聞いてみると都心立地の、しかも渋谷・新宿・銀座が欲しいという。いつの時代でもそれら一流繁華街に出店するのが『商人の夢』なのかと思う。
ここ1,2年あちこちと地方への旅に出る機会が多くなった。地域特有の街並みを散策することが楽しみの一つではあるが、今や通常名詞になった感のある『シャッター通り』に出くわすことも珍しくない。思えばここ何十年の間に街から消えてしまった商店を挙げてみれば、時計屋・八百屋・魚屋・電器屋・本屋レコード店…ときりがない。明るくきれいで、何でも揃っている大型店の台頭。利便性や価格でも勝てない…この様な時代の流れには逆らえないのも事実だが、商店街の衰退の原因は他にもいろいろと考えられ、それらについて今ここで論じても始まらない。
かなり以前からの商店がいま代替わりとなり、全ての店とは言わないが、その事業継承が上手くいかない。要は二代目あるいは三代目が跡を継ぐよりどこか勤めに出て店は賃貸した方が安定もするので継ぎたくない、という例も多い。何故なら子供の時から親父のかっこいい姿を見ていないから。そして『自分たちの商店街をもっと良くしよう!』と思う総論は賛成だが、具体的な各論に入ると反対。年代間の相違や各店ごとの利害が絡んでなかなかまとまらない、というのも危機感の欠如と連帯感の不足そして何よりもリーダー不在に他ならない。
自分たちを脅かし、客を奪ってきた?その大型店でさえも今思うように物が売れなくて頭を悩ましている。
それでは商店街の生き残る道はあるのだろうか?と思うが……果たしてヒントになるかどうかは解らないが、そのキーワードは『ぬくもり』の提供が考えられる。商店ですから地域住民・消費者の望む商品をどう品揃えできるか、そして他店との差別化は当り前の事だが、そこにヒトとヒトとの日常会話があり、親密感が生まれるような環境づくり、ヒトとつながるコミュニティの場を商品に添えての提供も必要になる。今の時代老若男女を問わず、お客様がSNSやLINE・TWITTERを受け入れているのもどこか心のさびしさや絆を欲しているからに他ならない。
活きのいい二代目あるいは三代目の若手が団結し、自分たちで考えた『新しい商店街像』を一歩一歩創出して、いずれ『カッコいいオヤジ』になって欲しいと願うのは私だけでしょうか?