株式会社ジェイ・プラン

COLUMN
だから開発はオモシロイ

第4回 ドタキャンのお話

商業施設新聞 2015年1月20日(火)掲載

 私どもの日常業務の中で、一番困り又どうしようもないのが『ドタキャン』である。そうオープンも間近に迫った土壇場でのキャンセルである。
ディベロッパーからの場合もあるし、その一方テナント理由の『ドタキャン』も多い。既に甲と乙間での出店諸条件もまとまり、後は『契約』を待つばかりのタイミングで、『残念ですが…』となる。

 一体何が原因で?どうしてそうなるのか?
ディベロッパーからの『お断り』で多いのがテナントの与信調査をした所『色々と問題があり…』と言葉を濁すが、本音は会社の業績が良くないという理由で『残念ながら』となる場合が結構あるのです。
またそれ以外では、経営トップが『知り合いテナントだから』で、そこに決めざるを得なくなり、現場担当者としてはどうしようもない破目に陥る。

 次にテナントからの場合は、だんだん開店時期が迫って来るとマリッジブルーと同じく、『やる自信がなくなってきた!』と言い出す始末。あのやる気まんまんはどこへ行ったのか?その裏には開発担当者に対して現場営業責任者からの横ヤリ、あるいは社長の変節、はたまた借入失敗による資金不足等など。
又こんな例もある。特に飲食テナントの場合、いざ内装工事の打合せに入ったのに排気量等のスペック不足、そしてB工事(ディべ指定業者でテナント負担)での予算とかけ離れた見積価格等など、実に様々な『ドタキャン理由』が出てくるが、真相はわからない。

 いずれにしてもオープン時期が迫ったリニューアル等での『ドタキャン』程やっかいな事はないのであるがよくある話である。 『出店させない』『出店できない』のどちらにしても交渉決裂に変わりはない。
 斯く言う我が社においても昨年3件程あった。
担当者は頭を抱えてばかりでは居られず、直ぐ様次の行動に移り、なんとか帳尻だけは合わせたが苦い経験だった。

 更に付加えるならば随分昔の事ではあるが、ある新設SCの計画中にこんな事もあったのだ。テナント選定責任者にさる有名代議士の秘書と名乗る人から『今計画中の**SCに##テナントを入れてくれ!』との突然の電話、実際にその場に居合わせたのだ。
又テナント決定しレイアウト図面への落とし込み等全て終わった筈なのに、一夜明けたらいくつかのテナント名が変わっていた。
その裏で一体何があったのか?知る由もない。

 『契約書』に印をつき、取り交わしをしない限りゆめゆめ安心できないのがこの世界である。

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