第2回 あのダイエーが…
商業施設新聞 2014年11月18日(火)掲載
時代の流れの早い現代社会においては、いささか旧聞に値するかもしれないが、この9月末、実に衝撃的なニュースが配信された。
『2018年を持ってダイエーの屋号・看板がなくなる!』2015年初からイオンの完全子会社になるという、イオン岡田元也社長の記者会見発表である。
思い起こせば私が流通業界に携わり始めた1969年前後になろうか、それこそ破竹の勢いで関東に攻めてきたダイエー。首都圏への本格的進出の第1号店ショッパーズプラザとして原町田店をオープン。
(現在は100円ショップダイソーになっている。)見学に行き、その圧倒的パワーに圧倒されビックリしたものだ。百貨店の雄三越の売上高を抜いて小売業日本一になったのがその3年後、
その後の発展・活躍は今さら言うまでもい。あのリクルート、ローソンもそしてプロ野球ソフトバンクの前身ダイエーホークスも一時傘下にあった。
正に日本の流通業界のみならず経済界のリーダーとしても創業者中内功氏の強烈な個性は際立っていた。
テナントリーシングのお手伝いをさせていただいた事がある。有能な社員が数多くいた。とりわけ印象的だったのが、稟議?に時間がかかりなかなか決まらない。
最終決定の段階で彼らが一様に発するのは『ウチは中内商店だから…』との決まり文句だった。
対照的にその頃のイトーヨーカ堂は……契約内容その他チェックは大変厳しいが、とにかくテキパキだった。今思い起こせば、開発リーシングの面からその企業体質の一端が見えたのである。
少子高齢化、社会構造の変化等により、従来までの小売業そのものが存在しにくくなっている今、流通の2大勢力セブン&アイ、イオンにおいても利益の中心はコンビニ・金融そしてモール事業になっている。時代の遷り変わり、消費者意識の向上等への対応が如何に難しいのか、そして企業戦略・開発の重要性について考えさせられる出来事である。
あのオレンジ色のシンボルマークも消えていく。そしてあの有能な社員はどこへ行ったのか?このニュースをどんな気持ちで聞いたのか?
『果たして30年後の世界はどうなっているのか?』誰も解らない。若かりし頃読んだ、大多数の企業の寿命は30年であるという『会社の寿命』日本経済新聞社刊をあらためて読み返してみたいと想う今日この頃である。